160218 or DIE

■2月18日(木):福島 会津若松編

06:50 起床。


朝食前に朝温泉と洒落込む。
今日もとってもいい天気。
ライトアップされた滝を見ながらの露天風呂も良かったけど、
清々しい朝の空気とともに楽しむ露天風呂もまた良い塩梅だった。


朝食。前日に続き こちらの宿もヴァイキング形式だった。
地産地消の野菜を中心に、会津といえば餅ということで雑煮。
ちぎりたての餅に、鶏 ごぼう 人参 里芋の入った醤油出汁。
他所の土地の雑煮は滅多に食ったことが無いので興味深かった。
(ちなみに我が家の雑煮は、白菜の澄まし汁に 煮溶けた餠が入ってる。
結果的に澄んでおらず餠で濁ってる。)
餠が旨かったので、食後のデザートにも更に餅。
きな粉をまぶしていただいた。

たらふく食って眠さ満点だったが、
10:00 宿をチェックアウトし、本日の行動を開始。
フロントに荷物を預かってもらい、徒歩にて移動。


宿から徒歩10分ほど。
会津藩主松平家墓所の案内板。


蔵のある民家が並ぶ小道を少し歩くと、


入口に到着。石碑には"松平家塋域(えいいき)入口"の文字。
この山一帯(15ヘクタール)が院内御廟として保全されている。


という訳でさっそく登る。


途中、二代 保科正経公の墓を参り、


更に登る。足元はけっこう険しい。
例年だとこの時期は雪に埋もれて登れないこともあるらしいが、
この日はご覧の通り。溶けた雪でぬかるんでいた。


15分ほど登ると、いよいよ歴代藩主の墓所に到着。
なんとなく"ワンダと巨像"のことを思い出す眺め。
ここ一帯に 三代から九代までの墓が並んでいる。
初代の墓は、ここから離れた猪苗代にあるらしい。
途中にあった二代の墓のみ仏式、他はすべて神式によるもの。


墓の前には、墓碑銘を背負った亀形の台座、亀趺坐(きふざ)が並び、
それぞれの墓の方を向いて鎮座している。
七基ある亀趺坐は、代が進むごとに一回りずつ小さくなってるっぽい。
墓所を護る御神獣だろうか。造形が興味深い。
はじめは亀かと思ったが、耳や牙や爪がしっかり作り込まれている。
ついうっかりガメラやタルカスのことを思い出してしまう、
迫力に加えて愛嬌もある姿。

後日改めて調べてみたところ、
亀趺のモチーフは"贔屓"という霊獣で、
亀に似た龍の子で 重いものを背負うのが好きなのだとか。
"贔屓の引き倒し"の贔屓とはこの子のことだったのか。

いろいろ発見の多い墓所参りであった。

11:30 宿に預けていた荷物を受け取り、バス停へと移動。
庄助の宿 瀧の湯さん、お世話になりました。

まちなか周遊バス"あかべえ"に乗り、一旦会津若松駅へ。
コインロッカーに荷物を預け、周遊バスのフリー乗車券(500円)を購入、
今乗って来たあかべえに再び乗り、飯盛山まで移動。


飯盛山下バス停付近にて。
今シーズン出番がないという除雪重機の姿。
ちょっとさびしそうにも見えた。


12:30 飯盛山参道入口。
ここから白虎隊 縁の場所やさざえ堂などに行ける。
わーい、また階段がいっぱいだ。


白虎隊墳墓ルートとさざえ堂ルートの分岐付近。
さざえ堂から回ることに。


旧正宗寺・円通三匝堂、通称さざえ堂。螺旋構造体。
高さ16.5メートル、六角三層のお堂。拝観料400円。
お堂前の小屋にチケット売りのおばちゃんがいて
"一度通ったところは二度通らない。摩訶不思議さざえ堂"
というアナウンスを繰り返している。
なんとものどかな光景。


内部は階段の無いスロープ状の二重螺旋になっていて、
上りと下りが別々の通路になっている面白い建築物。


出口にあった張り紙。"落書きは絶対御辞め下さい"。
びっしりと落書きされていた。昭和初期の日付のものも。
探せばもっと昔のものもあるかもしれない。
なんともとほほな現実である。


さざえ堂前にあった供養車。
回すとすさまじく悲痛な音を発する。
白虎隊士の霊魂を慰める為のものだそう。

この形、なんだか見覚えが...
これは松平家墓所にあったあの亀趺と同じ形!
横の看板によると
 "石の台は中国伝説の獏といい夢を食うので、
  その頭にのぼれば悪夢消滅の願いをかなえると言はれます"

あれ?台座のモチーフは獏なの?
先述の通り、調べた限りでは 亀趺=贔屓(霊獣)のようだが、
さざえ堂説では 獏、
僅かながらタルカス、恐竜戦車である可能性も捨てきれない。


道を引き返し、白虎隊墳墓へ。線香をあげさせてもらった。


近くには伊太利碑。ローマ市寄贈の碑がある。
白虎隊士の精神に感銘を受けたローマ市より
昭和3年に贈られたのだそう。
背面に"BVSHIDO"の文字が見える。

その後、一般霊園を通り抜け、白虎隊自刃の場所へと赴いた。
なんとなく畏れ多くてカメラが向けられなかったので写真は無し。
ここから鶴ヶ城が見えるというので望む。
確かに見えた。手前にちょうど重なってポールも見える。
この後知ることになるがあのポールはNHKのアンテナなのだそう。

道を引き返し、さざえ堂の先のルートへと進む。


ローマ市寄贈の塔に関連して詠まれた句だろうか?
けっこう大味。こういうの嫌いじゃない。


戸ノ口堰洞穴。
戊辰戦争時、敗戦の白虎士中二番隊20名が潜った洞穴とのこと。


概ね参道を巡って降りてきたところで、
順路を逆走していたことを知る。

13:30 あかべえに乗るべくバス停に向かうも
タッチの差でバスが出てしまったので、30分待つ or 歩くの選択。
徒歩で近藤勇の墓を目指すことに。


13:50 ひーひー言いながら歩いていると、愛宕神社の案内が。
奴郎ヶ前停留所まで歩いて順路通り近藤勇の墓へ参るつもりだったが、
愛宕神社側から行ってみることに変更。


これは長そう石段。


長い石段が見どころだった!
後で調べたところ、城の残石で作られているので
不ぞろいな石段として有名とあった。
ここの石段はほんとハードモードだった。


10分かけて登りきり、社殿にお詣りしたのち、
右奥の案内板に従い近藤勇の墓を目指す。


とっても獣道。


14:10 ほどなくして墓前に到着。お参りを済ます。
さすがに愛宕神社側からのルートでは誰ともすれ違わなかった。
裏寂しげな山の中。足元も山道でよくはないので運動靴必須。

更に歩を進めて天寧寺。
本来ならここを参って墓前に供える線香を購入したりするようだ。


天寧寺側の石段うを下る。とってもきれい。
愛宕神社側の石段と比べるのも面白い。


14:30 下山。歩きっぱなしでさすがに疲労困憊。
腹もものすごい減ってるぞ、ということで
付近で見かけた良い佇まいのお店に入ることに。

なんのけなしに入った店だったが、ここがまた面白い所だった。
入ってすぐ目に入る囲炉裏ではご店主が炉端焼きをこしらえ、
座敷に上がるとそこには所狭しとサインや写真が飾られていた。


手塚治虫、山下清、富永一朗!
他にも聞き覚えのある文化人の名前がたくさん。
中尾彬の写真なんて2枚も。
どうやらTVの取材なんかも来るお店だった様子。


会津田楽と胡桃餅と月見そばを食った。
甘味噌の風味と炭火焼の香ばしさがたまらん。すげーうめかった。
お秀茶屋、名前覚えた。

15:30 あかべえに乗り 鶴ヶ城の前で下車。


とりあえず入った鶴ヶ城会館(レストハウス)にて。
エスカレーターに見せかけたただの階段。


鶴ヶ城。赤い屋根...かどうかはよく分からなかった。

入城料を払い、城の中へ。
なんとなく内部の展示資料を眺めていたら、
十数年ガイドを勤め5年前に引退したという爺様が
展示されてるほとんどの人物の解説を聞かせてくれた。
1時間超、じっくりと歴史話を聞いていただろうか。
そして天守閣まで上り、街を一望。
今日ここに至るまでに巡った史跡の場所も再確認。
白虎隊自刃址と鶴ヶ城を結んだ線上にあるNHKのアンテナ、
少し前までは紅白カラーで目立って仕方なかったが
最近おとなしい色になったんだと爺様が教えてくれた。
気付けば閉城時間の17:00だった。わお。
予定が大幅に圧してしまったけど
こういうのも旅の醍醐味よね。良い時間だった。

そしてバスを逃した。
城の営業時間が17:00までなのにあかべえが16時台で終バスなのはちと早くはあるまいか!

徒歩にて次の目的地、野口英世青春通りを目指す。


昨日も通ったけど、なんだか良い佇まいの市役所。


薄暗くなってきた頃、ようやく通りに入った。


辺りもすっかり暗くなった頃、野口英世像とご対面。
ベタな写真が取れてご満悦。


18:00 少し歩いたところにある喫茶店"会津壱番館"にて一服。
ダッチコーヒーのアイスと レアチーズケーキを食した。
喫茶店の傍に野口英世の部屋を再現した館があったようだが、
時間の都合で行けなかった。また今度。

更に徒歩。
18:30 会津若松駅に帰還。
いやー歩いた歩いた。
フリー乗車券買ったけど、ほとんど歩いてた気がする。不思議だ。

帰りの夜行バスは郡山市発の為、
磐越西線 19:04発郡山行に乗車。
しばし車窓の風景を眺めながら旅を振り返ってた。

東北滞在のこの三日間、
雪景色を観に来たつもりが思わぬ晴天に恵まれて、
御天道様とはまこと気まぐれであることよ と実感。

基本引きこもり生活なので
たまにアクティヴだと真人間になったと錯覚してしまう。
デスクワークよりフィールドワークのが性に合ってるのではないか
なんて思ったりしてた。旅の魔力だわね。

そんな感じでぼんやりしてるうちに
20:10 郡山駅 着。

20:45 郡山発 名古屋行の夜行バスに乗車。
これから約9時間バスの中。
お世話になりました福島県会津若松市。


■2月19日(金)

05:35 地元インター停留所 着。
06:30 帰宅。
その手には旅の荷物と土産、
そして何故か
ローソン×艦これのほっぽちゃんナタデココグラス、
更にマクドナルドのプリパラハッピーセット×4が握られていたという。

おしまい。



東北旅行自分用土産。
牛タンラー油も ままどおる もとても旨かった。




160217 or DIE

■2月17日(水):宮城編 その2


06:30 起床。お値段相応な窓からの眺め。
霊的なものも出ることなく快眠。
朝食を食べに行くべく部屋を出ると、
何故か部屋の前に浴衣の帯が一本落ちていた。
もしかしたら妖怪帯剥ぎが出たのかもしれない。


朝食ヴァイキング。
小食なんで写真だとこじんまりして見えるが、
笹かま、ずんだ餅といった郷土ものから
豊富な惣菜、揚げたて天ぷら、トマトスムージィ等々
どれも旨かった。

温泉風呂四種楽しめるし、飯旨かったし、
これで4,000円とは、有難や 華乃湯さん。

08:30 本日の行動開始。
レンタカーで石巻まで移動。下道を走ること1時間45分。


10:20 石巻市内。
市内あちこちに石ノ森キャラたちが。わくわくしてきた。



10:30 旧北上川の中州にそびえるキノコのような宇宙船、
石ノ森萬画館に到着。


入口までの壁沿いには多数の漫画家先生の手形プレートが並び、
その後ろには、石ノ森先生の手がニョキッと生えている。
画力が上がるんじゃないかと思わず握手を交わす。

建物内部は3階構造。
石ノ森キャラの立体物が展示された常設展示に加えて、
特別企画 近藤喜文展も開催中だったので、
音声ガイダンスを借りて1時間半じっくり堪能してきた。
原画展示の量が凄くて、赤毛のアン、名探偵ホームズ、未来少年コナン、
"リトル・ニモ"のパイロットフィルム上映、ジブリ映画作品、
そしてアニメージュで連載していた"ふと振り返ると"の画文の数々がずらり。

例えば"火垂るの墓"の原画展示なんて観てるだけで泣けてくる凄みが。
赤毛のアンのイラストにはとても影響を受けた想い出があるので感激したし、
"ふと振り返ると"の画文も凄く影響されて、
当時真似して日常スケッチしようとしたけど
難しくて全然描けなかった記憶が蘇ってきたりして、
まさか原画を目にする日が来るとは、と非常に感慨深かった。

3階には津波被害の記録写真が展示されていた。
そうだよ、ここも津波を乗り越えて今があるんだよなぁ。

もっと観ていたかったがそろそろお時間。
せっかくなので自分用の土産を物色。

シージェッター海斗の音盤はかなり熱い。
仮面ライダー辛子みそもある意味かなり熱い。
(牛タンラー油はこの後仙台駅で購入したもの。写真は自宅にて)


なんだか良い佇まいで思わず写真を撮りたくなる仮面ライダー像。
1号で良いのだろうか? 1階にて。帰り際に撮影。

13:00 引き続きレンタカーで移動。黒川郡方面へ。


14:00 目的地に到着。
まさかのメタルラーメン屋ヘルズキッチン。ほんとに来ちゃった。


この内観である。店内BGMは勿論メタル。
なぜだろう、妙に居心地が良いのは。
店員さんはいたって普通だから恐くないよ。


アルティメッ鶏白湯 醤油味。
濃厚スープ、具の鶏肉も風味豊かで美味しくて結構良い塩梅。
ARCH ENEMYを聴きながら啜るラーメンもまた良いものであった。

仙台駅発 15:40のバスに乗らないといけない為、慌てて移動。
仙台市内のレンタカー屋に着いたのが15:05。
そこから仙台駅まで700m走り、大急ぎで土産物を購入、
仙台駅東口まで更に250mダッシュ。
15:35にバス切符購入。
15:40 なんとかバスに間に合った。死ぬかと思った。


お世話になりました宮城県。
次なる目的地は福島県会津若松市。
東北自動車道→磐越道に入ると...


車窓もいよいよ白くなってきた。


18:13 会津若松駅着。
天候的には吹雪いていたものの、雪が全然積もってない。
路線バスが見当たらなかった為、徒歩にて市役所近辺まで移動。


19:30 桜鍋の店 吉し多(よした)にて
桜鍋定食と 桜さしみ盛り合わせ(赤身、霜降り、たてがみ)にありつく。
1,500円と1,200円。思ったより安い。
馬刺しは赤身とレバーしか食したことが無かったので、
特にたてがみの触感に驚いた。凄い弾力と脂の乗り。
桜鍋は大変上品なお味。冷えきった身体がみるみる温まった。


後日、改めてお店のことを調べようと検索かけたら。
確か日本料理だと思ったのだが。

20:30 タクシーにて東山温泉へと移動。
運転手さんと少し話をしたのだが、
この時期の会津に雪がないのは百年以上ぶりだとか。
今年は一度も除雪してないし、雪景色目当てのお客はがっかりだし、
除雪業者も仕事がなくて死活問題ですわ、
と聞いて、雪国の苦労は雪がなくても起きるのだなぁと改めて知った。


20:40 宿に到着。庄助の宿 瀧の湯。
正確には、受付と温泉はここだが、部屋は公道を200m歩いたその先、
格安料金の別棟"ゆっくらイン"。朝食付4500円。

ときに、フロントで女性に間違えられた。
女湯の説明を詳しくしてくれるものだからてっきり入っていいのかと(良くない)
長髪でピンクボーダーのニット帽かぶってたせいだな。

チェックインを済ませて別棟へ。

部屋はこんな感じ。ザ・ビジネスホテルって感じ。

さあさっそく温泉に浸かるべ、
と浴衣一丁で公道を200m歩くのはかなり寒いものがあったが
これもまた貧乏旅の楽しみというもの。

ちなみにここの温泉、土方歳三が療養で浸かった湯
...かもしれないとかなんとか。
それはともかく、
渓流沿いの露天風呂からはライトアップされた滝が見えて
これがまたなんとも良い眺望。たいへんいい湯だった。

この日は24:00就寝。


(18日木曜編へと続く)